いざ夕張岳へ
東日本、西日本の方々には申し訳ないのですが昨朝の職場の室温は18℃、帰宅しての部屋の温度も18℃でした。
そして寮のおばちゃんと夕食時の雑談。
「さかたさん、昨夜は火(暖房)入れた?」
さかた「えっ?入れた方がよかったですか?」
「入れた人いるみたいだよ」
さかた「なんだ、我慢しなけりゃよかった」
「6月も後半なのにこんなに寒い記憶ないよね」
60年以上北海道にいる方に言われると妙に説得力を感じつつ
さかた「そうなんですか。昨年は一度だけ6月に(暖房)入れたんですが今年はもう何回も入れましたよ」
「でも真夏日はイヤだよね」
そんな真夏の本州に今週末は帰宅するという憂鬱さ^^;
さて、今年はW杯様々です。というのもこの中断期間を利用してJAL様利用もとい山に行くことができるからです。
先週末は北海道に来てから狙っていた山の一つの夕張岳に行ってきました。
夕張といえば大半の日本人はメロンを思い浮かべ、道民でもやはりメロンを浮かべることでしょう。
しかし、山好きには夕張岳をあげる人が多い程の有名な山です。
花の名山として知られる夕張岳は、石狩平野の東にそびえる標高1,668mの山です。私の住む、そして勤務しているところと同じ南空知地方に位置します。6月下旬、雪解けが終わった山は、10種類の夕張岳固有の高山植物や、およそ170種類もの北海道を代表する高山植物が、色とりどりに咲き乱れます。高山植物の種類と固有植物の数は、はるかに広い大雪山にも匹敵するほどです。
夕張岳に固有の高山植物が多いのは、夕張岳が蛇紋岩という鉄分を多く含む岩石でできているためだといいます。特異な地質に適応した限られた植物しか生育できないため、世界でもこの山にしかない固有種を育んできたのです。
日高のアポイ岳と同じような植生です。
夕張岳は「日本二百名山」であり「花の100名山」。花の種類では群を抜き、7月に入るとそれらの花々を訪ねる登山者で賑わい、週末になると登山口から1キロ以上も路肩駐車で繋がってしまうといいます。現に今回も下山時の林道にはたくさんの路肩駐車の車が見られました。
そのアプローチとなる林道が一昨年相次いで北海道を襲った台風の影響で終点まで車で通行できない状態でしたが、今月になり復旧したとの報を聞いたのが10日前でした。
今しか見ることのできないユウバリソウを見るには北海道勤務中でなければ難しいと思い23日の土曜日に行くことを決めました。
土曜日の朝2時半に岩見沢を出発、リアルサファリパークと思えるほど途中何匹ものエゾシカ、キタキツネ、エゾタヌキをひきそうになりながら何とか夕張林道終点に着いたのが午前4時前。
そして午前4時過ぎにいよいよ出発。
しばらくするとウコンウツギが出てきました。
2週間前の富良野岳ではまだ咲いていなかったのですが“夏近し”を感じた瞬間でした。
さらに登るとシラネアオイが出てきました。
噂には聞いていましたが見事な群落でした。
その群落の石原(せきげん)平に到着したのがこの時間。
先行者が二人いましたが栃木からの単独者を抜かせてもらいました。
展望台と言われるところを過ぎるとようやく目指す夕張岳が見えてきました。
道端に咲く一輪の花。
名前は???
残雪は平年よりも多いようでところどころ雪渓を横切りましたが、富良野岳の時ほどの高度差はなく。
水辺にはエゾノリュウキンカ。
本州のリュウキンカよりも大きいのが特徴だそうですが、職場の周りでも見かける花です。下界よりも開花は2ヶ月遅いようです。
チングルマ。
翌日の雨竜沼ではたくさん見かけたショウジョウバカマ。
紫色は夕張の特徴的な色でしょうか。
湿原に突入。
ところが湿原はまだ雪原^^;
それでも雪解けしたところにはミズバショウ。
まだ桜も咲いていました。
エゾヤマザクラかな。
さらに進むとすっかり雪の無くなった湿原に。
珍しいタンポポに遭遇。
タカネタンポポというそうです。帰宅して調べるとこの花は夕張山地や日高山脈など、ごく限られた地域で見られる貴重な在来種だそうで、環境省から絶滅危惧IB類(EN)、北海道からは絶滅危急種(Vu)に指定されているタンポポだそうです。Vuとは絶滅の危機が増大している種または亜種だそうです。(北海道レッドデータブックより)
最後の雪渓を抜けます。
この時期の高山帯でよく見かけるエゾノハクサンイチゲが出てきました。
ミヤマアズマギク。
そして頂上直下の吹き通しと言われるところで遂に念願のユウバリソウとご対面。
夕張山系夕張岳特産の高山植物。蛇紋岩帯の岩場に生える高さ10~20cmの多年草で、ウルップソウが蛇紋岩地で特殊化したと考えられている。葉は肉質でつやがあり、6月末~7月に白い小さな花を房状につける。
絶滅危惧種 (En)=絶滅の危機に瀕している種または亜種
個人的には夢にまで見たユウバリソウなのでした。
この後に頂上に行き戻ってくると立ち入り禁止ロープを無視して写真を撮るマナー違反の方々がいるではありませんか。
中高年のにわか登山者によく見られます。
嘆かわしい。
こちらは同じ吹き通しに咲いていたナンブイヌナズナ。
こちらも同じく。
ミヤマキンポウゲかな?
タカネグンバイ。
ミヤマアズマギク。
シャクナゲも咲いていました。
そして8時前に頂上到着。
一応サポーターの証としてエスパルスのタオマフ巻いて登りました。
ユウバリソウを見てすっかり満足していたのですが、ふと
「夕張岳の固有種は他にもあったような?」
とスマホでチェックしました。
チェックした結果がこちらでした。
ユウバリコザクラ。
夕張山系夕張岳特産のサクラソウの仲間。蛇紋岩地帯の岩場にまれに生える高さ4~10cmの多年草で、7月に1.5cmくらいのピンク色で真ん中が緑白色をした花を1~3個咲かせる。
ユウバリソウと同じく絶滅危惧種 (En)=絶滅の危機に瀕している種または亜種
ユウバリコザクラは盗掘や登山者の踏みつけなどで激減しているそうです。
登山道からは離れたところに咲いていたので写真はトリミングしています。
下山中に咲いていたフギスミレ。
オオバミゾホウズキ。
夕張ヒュッテのある登山口に下山。
早朝には無かった林道の路肩に止めている車多数。
ということで本来は物言わぬ蝶や花が好きなオヤジでした。
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